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 ジャスミン・ディズダー『ビューティフル・ピープル』 (1999 英) ★★★☆


ボクにとって比較的苦手な群像劇なんよね。まず関係を把握するのに苦労してしまってる。もちろんこの『ビューティフル・ピープル』もそう。そこへもってきて5つのエピソードがそれぞれに人物が混ざり合って同時進行する。それぞれはそう難解な話ではなくて単純なんだけれど、まずこんがらがること必至。
自分自身で理解するためにその5つのエピソードを紹介(^_^;)
『ロンドン代理戦争』『気がつけばボスニア』『LIFEノイミハ?』『赤ちゃんの微笑み』『熱血暴走レポーター』って、これはビデオのパッケージからの写しで映画の中で、この話のタイトルはこれですと示されるわけでない。(なんでもDVDではそれぞれ独立して見れるという親切設計らしいが、それって余計なお世話じゃないのか)
『ロンドン代理戦争』いきなりタイトルバックで始まるのが、クロアチア人とセルビア人がロンドンの2階建バスの中でケンカを始める。その結果二人とも病院に入院。隣り合わせのベッドで、そのまた隣にはウェールズの元テロリストの組み合わせで、延々ケンカ
『気がつけばボスニア』フーリガンのグリフィン(ダニー・ナスバウム)がオランダに応援に。ちなみにイングランドは負け。その帰りの飛行機に乗るときにヘロインでドープしてしまって、荷物の中に紛れ込んでしまう。ところがその荷物がボスニアへの救援物資だったことで、戦禍のボスニアへ。
『LIFEノイミハ?』ボスニア難民のペロ(エディン・ジャンジャーノヴィテ)は上流階級の令嬢ポーシャ(シャーロット・コールマン)に恋してしまって、やがて結婚へ
『赤ちゃんの微笑み』嫁さんに逃げられた産婦人科医のモルディ(ニコラス・ファレル)が、難民のジェミラ(ワレンティン・ジョージヴァ)が中絶してほしいと頼まれるが出産を勧める。そして生まれた赤ちゃんカオスも含めて共同生活し始める。
『熱血暴走レポーター』BBCのカメラマンがボスニア紛争取材中に負傷して足を切断される。ロンドンに戻って、ボスニア症候群なる一種のノイローゼ状態になる。

簡単に書いとくと、こうな。この監督のジャスミン・ディズダー自身がボスニア人で、多くの俳優たちもボスニア人。と軽く、書いてしまってるのだけれど、ボスニアってはてどこでしょう? ボクはボスニアってのは旧ユーゴスラビアで、民族紛争のために解体してしまって、さていまどういう国に別れてしまったのか、ようわかっとらん。映画の中でもペロがユーゴの地図を指さして、過去のなんとかとポーシャに説明してるところがある。
そういうことがわからないなりにも楽しめることはできるんだけれど、それぞれの結末のハッピーさにこれでいいんだろうかという疑問が残ってしまうのね。平和ボケした日本人には、これでいいんでしょうけれど。『ロンドン代理戦争』でファシスト、オレの家族を殺しやがってと罵りあっていたのに、看護婦も交えてウスノロに興じているシーンなんてのはほのぼのとしすぎていはしないか。そんなことくらいで解決するくらいのことなんだろうか。『LIFEノイミハ?』の中でも、「イギリスも多民族国家だった。だが紛争は400年前に終わった」と上流階級の人間、ポーシャの祖父だったかに言わせる。ほんとに400年前に終わってるのか。それはあんたらの階級だけがそう思い込もうとしてんじゃないのか。
民族紛争のメッセージ性を含めながら、ひとつの娯楽作品としての映画の立場っていったい何なんだろう。映画自体はほんとに楽しめるはずなんだけれど、すなおに楽しんでいていいのかという気にさせられてしまった。

BEAUTIFUL PEOPLE
製作 ベン・ウールフォード
製作総指揮 ロジャー・シャノン / ベン・ギブソン
監督・脚本 ジャスミン・ディズダー
撮影 バリー・アクロイド
音楽 ゲイリー・ベル
出演 ダニー・ナスバウム / エディン・ジャンジャーノヴィテ / シャーロット・コールマン / ショパン・レッドモンド / リンダ・バセット / ニコラス・ファレル


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2004年06月11日(金)
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