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 塚本晋也 『六月の蛇』(2003 日) ★★★★★

 これの劇場チラシもらってきてトイレに貼っておいて、それでしっかり見逃してんだからアフォです。やっと見たよ、WOWOWだったかでやってんのを。うーみゅ、これは絶対に劇場で観たほうがいいよなぁ。後悔するよ。たとえ、小さな映画館でも、シチュエーションに包み込まれられるでしょ。そういうふうにして観るべきだよ。
 まず全編ぶち抜いての六月の雨、というより、ありゃ豪雨だろ。が、やってくれちゃった、あるいは、してやられたって感じ。屋内のシーンであろうが、必ず雨がひっきりなしに降っている。まるごと一本雨だなんて映画はほかにない(断言してしまってエエんだろうな )。いや、とにかくこの雨に包みこまれる、閉じこめられるためにも映画館で観なきゃダメなんですって。観てないから、なおさらそう思う。閉塞感を少なくとも疑似体験すべきなんだよな。そうすればその雨に刺激されて、自分のうちなる蛇が鎌首をもたげるってもんでしょ。ま、ボクの場合は内ではいつも蛇が蠢いてるようなもんだから(^▽^;)
 しっかしですね、この映画での塚本晋也の肩書き、全部で6つですワ、これに役者も足したら7つ。まさに八面六臂ってところ。この『六月の蛇』に限ったことちゃうけどね、現場でどうなんじゃろって、きっとタダの映画監督なんでしょ。ワイワイガヤガヤとどのパートにもクビつっこんで、まかせとけないっていうより、じっとしてられないんでしょ。
 それでね、ストーリー的にどうちゃらこうちゃら、と考えられないのが塚本映画で、そんなの考えてたらアホくさくなる。例えば、りん子にバイブ入れさせて、八百屋にキュウリとナスと、それからバナナを買いに行かせたところで、うぃーんとバイブの振動をでっかくするなんて、SM劇画でしょうが。そしてわけもなく、バイオレンスにだーっと走ってみたり、ってね、ふつーじゃアカンでしょ。でもそれがいいんだなぁ。はまってしまうんだよなぁ。
 それに役者のぎこちなさ。神足裕司なんかもうピカイチでしょ。あ、頭もピカイチでしたが(w そのピカイチ頭に樋を伝ってどどどっと雨水が滝のように落ちてくるなんかもう最高じゃん。妙にね、音として発せられ耳に入ってくるせりふと動きとして目に入ってくる演技のズレがね、これにしたってふつーじゃ×なんだろうが、おしまいまで行ってしまえば、ズレてないとおかしんだよ。ちっ、やりやがったってネ。そしてやっぱり黒沢あすかに尽きるんでしょ。
 とにかく塚本映画はケンカ買ったらダメですよ。奴のペースにはまっているだけで最高!

 
製作・監督・脚本・撮影監督・美術監督・編集 塚本晋也
撮影 志田貴之
音楽 石川忠
照明 吉田恵輔
製作&メイク 福山秀美
出演 黒沢あすか / 神足裕司 / 塚本晋也 / 寺島進 / 不破万作 / 田口トモロヲ



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ひとつ前 アナンド・タッカー『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』 (1998 英) ★★★☆

2004年03月21日(日)
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