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 大島渚『御法度』 (1999) ★★★

 どこまで本気でどこから遊びなのか理解に苦しみつつ、本気と遊びの逆転に気づくまで、噛み合わせの悪さに悩まされる。
 司馬遼太郎の原作とはいえ、まさかね、大島が大河ドラマつくったら違和感ばりばりだろう。その本気と見せかけの大河ドラマもどきに何やらかすつもりなんだろうと妙な期待感からは何も出ず、かつての大島を知らなかったら、どうしようもなくくだらん駄作に成り果ててしまう。
 まじにドラマ作ろうって気ぃないんやもんねぇ、トミーズ雅にざこばだもん。これって大島が関テレでつくったコネクションってか。それで松田優作の隠し子=松田龍平をメインに押し立てといて、そこをビートたけし、崔洋一あたりに、かつての大島組ってか。う〜ん、それもなぁ、たけしはたけし自身が監督やってるときの役者たけしより、好きだけどな。たけしbyたけしはセンチメンタルに流されるきらいがあって、戦メリでもそうだったけど、すかっぴんのたけしのほうが好きだからね、ボクは。浅野は浅野で、途中ばっさり抜けちゃって、浅野の超過密スケジュールのせいなんかねぇ、スケジュールなんて世界の大島の力をもってすればどうにでもなるんだろうが、それにしても浅野を使おうって意味がいまひとつ見いだせない。浅野でなくてもいいんじゃないのって感じ。武田真治にしたって、ここにもってくのかって思ったらそうでもなくて、なんか火をつけていいのかどうだか。
 スタッフだって半端じゃない。栗田豊通ってハリウッドでしょ、それに美術の西岡善信って日本映画の美術としてはトップでしょ。そこらが集まって作りだすラストのいかにも作り物でありますという怪しさ+妖しさは見事としか言いようがなんだけど。
 あ〜やっぱり、何ともいいようがない。いくらラストでばっさりやってくれちゃってもねぇ、それはそれでいいんだけど、なんともかんとも、なんかぴしっと来ないこの歯がゆさっていったい何なんだろう。はぐらかされまくった困惑顔のその向こうで、大島が得意満面にニッと笑ってるのが目に浮かぶ。

LES GLANEURS ET LA GLANEUSE
監督・脚本 大島渚
原作 司馬遼太郎『新選組血風録』
撮影 栗田豊通
美術 西岡善信
衣装 ワダエミ
音楽 坂本龍一 Sakamoto Ryuichi
照明 竹久博司
出演 松田龍平 / ビートたけし / 武田真治 / 浅野忠信 / 崔洋一 / 的場浩司 / トミーズ雅 / 伊武雅刀 / 神田うの / 吉行和子 / 田口トモロヲ / 桂ざこば / 坂上二郎

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2004年01月03日(土)
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