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■ フェデリコ・フェリーニ『甘い生活』(1959 伊,仏) ★★★★★
なんとも言えない、寂しさというか、やるせなさというのか、ほんとなんて言ったらいいのか、とにかくそんなんだ。そんなんを描かせたら、フェリーニの右に出るものをおらんでしょ。『道』のザンパノの武骨そのものなのに対して、マルチェロの色男っぷりときたら。。。しかしそれでも最後には海の前で消滅していくのだった。ザンパノは暗い海でおいおいと泣いたけれど、泣くことができたのに、マルチェロは泣くことすらできないで、「見たくもない」とつぶやくだけ。そうして、マルチェロの海は眩しすぎる。残酷だね。ずしんと鉄の塊が胃の辺りにはまりこんだような、もやもやとした感触が今も残っておるよ。 えーっとですね、今回、これ見直そうとした動機は不純で、来月ローマに行くのね。その予習ですね。きっとバチカンにも行くでしょう。そうしたら、バチカンの上空をキリスト像が飛んでないか、きっとボクの目には飛んでますです、はい。しっかし、この冒頭のヘリコプター・シーンは強烈だよね。をいをい、そんなことしていいのか?と、見てるほうがあせって、どうする(笑) よくぞ、急進的クリスチャンに刺されずにおれたよのぉ。これ見るだけでも価値ありです。初めの10分だから、頑張ってみなさい。それが乗り越えれたら、アニタ・エクバーグのトレビの泉の水浴びシーンが待ってるから。このシーンこそ、映画史に残る十本の指に入る名シーン。「見たくもない」とつぶやけるかい? これを見ずに死ねるかい? そしてマルチェロの「君はまちがっている。。。。お互いだけれど」で死んで下さい。 この『甘い生活』とてね、20代で見たときには、ふぅーんとしか思えなかったのね(恥ずかしながら)。だって『サテリコン』なんてほうがずっと派手で、いかにもフェリーニって感じ。というか、ボク自身がフェリーニは『サテリコン』から入ったせいもあるんだけど。マルチェロが「甘い生活」の中に浸りながらも、インテリの悲しさか、どこか冷めている。それでも破滅へ導いていかなければすまない寂しさ。そういうのって、極大を越えなければ、どうしても見えてこないもんなのかなぁ。 もし、これを若い人が読んだら、どうでもいいから、今のうちにいっぺん見といて、20年だか、30年経って、もっぺん見てほしいな。
LA DOLCE VITA 監督 フェデリコ・フェリーニ 製作 ジュゼッペ・アマト / アンジェロ・リッツォーリ 原案 フェデリコ・フェリーニ 脚本 フェデリコ・フェリーニ / エンニオ・フライアーノ / トゥリオ・ピネッリ / ブルネッロ・ロンディ 撮影 オテッロ・マルテッリ 音楽 ニーノ・ロータ 出演 マルチェロ・マストロヤンニ / アニタ・エクバーグ / アヌーク・エーメ / バーバラ・スティール / ナディア・グレイ / ラウラ・ベッティ / イヴォンヌ・フルノー / マガリ・ノエル / アラン・キュニー / ニコ
★★★★★
2003年07月14日(月)
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