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 園子温『うつしみ』 (1999/日)


 『部屋 / THE ROOM』では★5つつけたけれど、これはな(-.-;)
 この『うつしみ』は愛知芸術文化センターの企画によるのだけれど、「反芸術でいく、と思った。美術館の映画だからこそ、肩肘はったもの、じゃなく反芸術どころか、スーパー超大芸術デラックスでいこうと。」いう目論みは異様な空回りをしてしまっているかのように見える。
 ドラマ部分、つまり女子高生(澤田由紀子)とおでん屋(鈴木卓爾)を中心とするパートをまず見てみると、「走る」という行為ですぐ思いだすのは、トム・ティクヴァの『ラン・ローラ・ラン』だったりするし、また塚本晋也の『鉄男』だったり、はたまた『書を捨てよ』の都電を走るシーンでもあったり、ボクはちょっと『新宿泥棒日記』で深夜の新宿西口で避妊具を振り回して走るシーンを思いだしたりもして、いろいろとあるんですよ。
 「待つ」ことへの解答として、「待ち」合わせ場所の象徴としてのハチ公像を引っ張っていってしまう、という発想は好きだな。待っても来ないのなら自分から引っ張っていってやろうという強引さがいいのね。ところが雪原の真ん中にハチ公像をおくというのは、あれはなぁ
 一方のドキュメンタリーのパートで、この『うつしみ』のキャストによる読みあわせというか、撮影以前の現場から、オーディションでずらーっと女の子を脱がせてしまう荒木経惟の撮影現場、さらに麿赤児の大駱駝館の稽古場風景、またデザイナー荒川眞一郎のアトリエ風景、これらが「肉体」という一点でつながって重ね合わされる。
 と、こういうふうに書くと、なんだかおもしろそうでしょうが。ところが、そうしたもろもろのひとつひとつはおもしろいパーツであっても、なんだか、構想、つまり頭でっかちでな空回りをおこしているように見えてしまう。一番上に引用した園子温自身の目論みが、彼自身の肩肘はらせてしまったとしかおもえないんだけどね。
 ボク自身のことで言うと、今月、寺山、ゴダールを立て続けに見てると、さすがにこの『うつしみ』は辛いものがあるというわけ。もっと編集段階でなんとかしてほしいよな、なんでもつっこめばいいってもんじゃない。

 
製作 愛知芸術文化センター
監督 園子温
脚本 園子温
撮影 園子温
出演 鈴木卓爾 / 澤田由紀子 / 津田牧子 / 荒木経惟 / 麿赤児 / 荒川眞一郎
★★☆



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2003年05月17日(土)
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