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 ▼ アキ・カウリスマキ『ラヴィ・ド・ボエーム』 (1992 フィンランド)


 下敷きにはプッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』があって、しかもカウリスマキはこのオペラにかなりむかついていたらしく、「」などという辛辣なセリフも飛びだしてくる。元々の原作がアンリ・ミュルジェールの『ボヘミアン生活の情景』
 この映画の時代設定というのはいつなんだろ。ベル・エポックと称される時代のようでもあるけれど、あえてそれにこだわってるわけでもない。ぐっと近い現代のようにも思える。とってつけたようなぺらぺらの時代設定で目先をごまかそうというのが全く見当たらないのがさすがカウリスマキだなぁと思う。どの時代にあっても、このように時代のメイン・ストリームからは見離された連中というのはおって、カウリスマキは一貫してそうしたはぐれてしまったボヘミアンにライトを照てつづけている。
 なぁ〜〜〜んて、偉そうなことを書いていますが、はい、正直に白状しておきます。この『ラヴィ・ド・ボエーム』がパリでの話だというのは、始まってしばらく経って気がついてる人なのです。カウリスマキだからてっきりフィンランドだとばっかり思ってた(-.-;) だいたい、ほとんど直感でビデオ借りてきてしまうし、これだってカウリスマキのが7,8本並んでいて(ちょっとボクの行ってるビデオ屋すごいっしょ)、あ、これまだ見てへんなぁとぽっと引っ張り出しただけなのね。
 画家のロドルフォ(マッティ・ペロンパー)、作家のマルセル(アンドレ・ウィルムス)、そして音楽家ショナール(カリ・バーナネン)がひょんな因縁 ― カウリスマキ専売特許のボンビー話 ― から共同生活を始める。このボンビー話、笑える、笑える。例えば、マルセルがヤケクソ状態でバーで赤ワインを注文すると、ボンビー見透かされてるから、テキーラのグラス(おちょこ程度の小ささ)にしかワイン入れてくれへんのだよね。「なんだ小さいワイングラスだな」とワインを一飲み。教会じゃないっつうねん。
 負け犬三部作では、やることなすことすべてハズレまくり下向きオンリーののSM大会だったのが、今回は上げ下げ。あれれと思うてたら、サクセス譚にはならないで、しっかり落としてくれて、見てるほうは安堵(←どんなんやねん(^_^ゞ) しかしですネ、ロドルフォが描いてる絵なんてのはどう贔屓目にみたって上手くないっしょ。しかし、それでもだっさぁ〜い買い手が現れてもちあげてくれちゃって。
 で、またしてもカウリスマキ専売特許のさえない男といけてない女の恋物語。せつないねぇ〜(-。-;) この『ラヴィ・ド・ボエーム』では、上げ下げが激しい分、話の展開が速くて、あれよ、あれよという間にくっついて、あららという間にバイバイ。その話の展開の速さにちょっとした違和感さえ覚えてたんだけど、きっちり最後にはカウリスマキマジックにはめられてしまって、気がつけば ♪〜ゆぅきの降る街を〜って、ずるすぎるだろ。
 白黒です。白黒で切り取られた、また別のパリの街がすごくいい。アッジェだね。。。って、またまた、すぐこれだ(^_^ゞ


La Vie De Boheme
製作・監督・脚本 アキ・カウリスマキ
原作 アンリ・ミュルジェール
撮影 ティモ・サルミネン
出演 マッティ・ペロンパー / イブリヌ・ディディ / アンドレ・ウィルムス / カリ・バーナネン / クリスチーヌ・ムリーリョ
★★★★☆



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2003年02月01日(土)
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