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 ▼ アキ・カウリスマキ『真夜中の虹』 (1988 フィンランド)



 わかっちゃいるけど、きっちりカウリスマキにははめられる。カウリスマキはこの『真夜中の虹』に続いて、『マッチ工場の少女』、『コントラクト・キラー』で「負け犬3部作」というてるらしい。
 この『真夜中の虹』でも、ダメ男ぶり全開ばりばり。ドヂで何をやらせてもダメ、運にも見放された人間をこれだけ見せつけられると、とても屈折した笑いを抑えきれないのだよ(何か変な文章)。 フィンランドの真冬に幌の閉じないオープンカーで走り出さないと仕方がない。走り出した瞬間にそのガレージが崩れる。。。。。。。ここらあたりは、アハハハハと笑ってられるんだけどね。
 最近テレビのバラエティ番組を見ていてたまらなくイヤなのは、人のドヂるのを見て、みんなで嘲笑うこと。もちろんカウリスマキの屈折した笑いは本質的にその下劣さと異る。それは何もボクが言い出すことでもなくて、見る側が嘲笑う側に立っているか、笑われる人間に同化させてしまうかということ。
 「負け犬」であることの不条理。安易に「共感」などということばは使いたくはないが、いつかカウリスマキにはめられてしまっているのだ。この快感というのはなんとも表現しがたいものがある。「負け犬3部作」に限らず、『浮き雲』、『パラダイスの夕暮れ』しかり、このアイロニカルな快感を求めている自分がいる。
 ラストでまさかアレを引っ張り出してくるとは思ってもいなかった。がつぅーんと一発やられたな。ラストは『パーマネントバケーション』じゃないかって、あ、そうともとれる。うん、言われてみればそうかもしれない。だけどもっともっともっと切ない。ブルースだよ、ずばり。

Ariel
製作・監督・脚本 アキ・カウリスマキ
撮影 ティモ・サルミネン
美術 リスト・カルフラ
音楽 ヨウコ・ルンメ
出演 トゥロ・パヤラ / スサンナ・ハービスト / マッティ・ペロンパー / エートゥ・ヒルモカ
★★★★☆



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2002年12月01日(日)
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