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 ▼ 藤田敏八『八月はエロスの匂い』(1972 日)



 臭〜〜っ! なんと、まぁ、臭い芝居のオンパレードよ(^_^;トホホ… とくに芝木先生(永井鷹男)よ、しばきますよ! んまぁね、日活ロマンポルノにあっちゃ、男優なんて添え物でしかなかったからねぇ。
 ボク、当然コレはきっと3本立てでリアルタイムに見てるんだよね、ついこないだのことのように。バリバリの70年というのもこんなにも臭かったか。まぁ、『八月の濡れた砂』の村野武範だって、『野良猫ロック』の原田芳雄だって底抜けに臭かったからな。青春というのは恥ずかしいものなんしょ。
 簡単にストーリーを追うとくとね、デパガールの圭子、をっと藤圭子の時代やねぇ、その圭子が川村真樹。当時はもっとはくい女に見えたけど、いま見ると、けっこうオバハンっぽい。その圭子が勤務中に強盗(むささび童子)に掌を刺され、店の金を奪われる。そんな圭子には田舎の高校の芝木先生の愛人だか、恋人だかで、これがまた慰めにも何にもなりゃしない。
 日活ロマンポルノの方針として、とにかくいくらかの濡れ場を入れておけば、あとはどうこう言わないというのがあったらしいのだが、前半で全裸からみシーンがあることはある。が、世紀末を経てきた目にはどうってことないなぁ。まだロマンポルノ新人の川村真樹ひとりじゃもたせられないと、『夕子の白い胸 』であたった片桐夕子を川村真樹との2枚看板で使ってんだけれど、夕子、これじゃ脱いでへんのよねぇ。そして2枚看板の割には、へっ?と思うてしまうくらい。
 さて、藤田敏八らしさが出てくるのは、日活とのお約束を果たしてしまってからの後半に入ってから。川村真樹がむささび童子のあとを追いかけて行く不条理さ。いかにもいかにもという70年代っぽさがぷんぷん臭う。どこか、真崎守の漫画の70年代的臭さにも通じる。浜辺で、ジャカジャカ、ギターを弾き鳴らす、をを〜、ジャックスだぁぁぁぁ。いやぁ、ここらあたり、気恥ずかしくて気恥ずかしくてどうにもならんわ(^_^ゞ おんなじようなことやっちゃってたりします。ところがこの『八月は〜』を見てから数日経つというのに、ずっとジャックスが耳から離れない。
 つまりね、気恥ずかしい追体験になってしまっていたのに、どこかでくすぐられてしまっている自分がいる。自分ではとうに抜け出したつもりなのに、いまだどこかに抜け出しきれていない、ひきずった自分がいる。そうして朝焼けの浜昼顔にの群落に埋もれてしまう。。。。。甘美。。。。これこそが「癒し」
 ほんのつけたしにしか見えないラストシーンのなんという優しさ。


監督 藤田敏八
脚本 藤田敏八大和屋竺
撮影 安藤庄平
音楽 真田勉
出演 川村真樹 / 片桐夕子 / 永井鷹男 / 粟津號 / むささび童子 / しまさより / 中野由美 / 堺美紀子 / 清水国雄
★★★★



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2002年11月14日(木)
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