nikki-site 雑文速報
 あいうえお順INDEX 



 ▼ アッバス・キアロスタミ『桜桃の味』 (1997 イラン)


 率直に言うと、この『桜桃の味』ではしゃべりすぎだな。いきなりこれを見てたらもう少しは、をーこういう映画もありですねとも思えたはずなんだが、ジグザグ三部作を見たあとでは、ごくふつうにしか見えない。しかも前日に見たのが『エンジェリック・カンバセーション』だったから、よけいそう思えるのかもしれない。
 例えば、ブルドーザーが土砂を流すシーンでも、それにバディ(ホマユン・エルシャディ)の影を重ねるのだけれど、キアロスタミとして見たときに新鮮味がない。ごく平凡に見えてしまう。これがほかの監督がやってたのなら、うんうんとなるのだけれど、作りすぎという感を否定できない。
 パゲリ(アブドルホセイン・バゲリ)の桑の実の話だってほんとは好きなんだよ。桑の実っていうのはパゲリが言うようにほんとに甘酸っぱくて美味しい。あそこで桑の実(桜桃じゃなくて)をもってきたというのはとてもよくわかるし、イランの人間からすれば普通なのかもしれないけれど、現代の日本では、へぇー、そこで桑の実ですかぁという新鮮さがある。なのに、パゲリがしゃべりだしてしばらくパゲリの姿を見せないというのは、キアロスタミにあっては、また見え透いた手を、という感じになってしまうのが、なんか辛い。
 さてと、賛否両論のラスト。そのラストに至るまでに、答えは見えてしまっている、というか、答えがああでないと成り立たないよね。だから、『オリーブの林を抜けて』のような、どっちなんだ?というどきどき感がないのは仕方がない。異常に長い夜に、うん、うん、そのままエンディング流してくれよと思っていたのに、夜が開けてしまった。なんで?夜を明けさせるのだぁぁぁぁ、と思っていたら、やけに映像がざらついている、16mm?  このざらついた絵に少しは自分自身も納得しようとしていたのに。。。その16mmが、バットで後頭部殴られたような、何やってくれんだよ(-_-)

 ビデオでは、おまけについてる『パンと裏通り』、こっちのほうが10倍好き!

Taste of Cherry
製作・監督・脚本 アッバス・キアロスタミ
撮影 ホマユン・パイバール
出演 ホマユン・エルシャディ / アブドルホセイン・バゲリ / アフシン・バクタリ / アリ・モラディ / ホセイン・ヌーリ
★★★☆



↑投票ボタン



2002年09月20日(金)
 ≪   ≫   NEW   INDEX   アイウエオ順INDEX   MAIL   HOME 


エンピツ投票ボタン↑
My追加