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 ▼ デレク・ジャーマン『エンジェリック・カンヴァセーション』 (1985 英)



 なんとも心地よいというか、かんともわけわかりませぇーん(^_^ゞ 
 まずは8mmで撮影したんやて、それをコマ落としにしたり、色調変えたり、色付けしたり、いじりまわしてビデオに録画して、さらにそれを35mmで撮りこむという、なんとも手のこんだ技を駆使したというしろもの。ところがこれがまぁ見事であります。ボクがデレク・ジャーマン好きだからもちあげてるところもあるけれど、わけなどわからんでもよろしい。たまにわけのわからんイメージを繋ぎあわせたという映像に溺れるのも非常にエキサイトなものよ。

 わけわからん一つには一切のセリフがない。あるのはジュディ・デンチのナレーション、どうもこれはシェークスピアのソネットとかなんとからしいのだが、それが英語であってもわからない。字幕は、なしよ。これで英語がもっと聞き取れて意味がわかる人間なら、また別の感じ方もありなんだろうが、考え方によれば、言語がわからない分の感じ方ができているわけですね。言葉によるイメージの膨らみを排斥してしまった見方、それに耐えられる映像だからのこそってところかな。もう少し別のとらえかたをしてみると、例えばロックを聞いていてもそこで歌われている歌詞など聞き取れない、わからない、それでも十分に伝わってくるサムシングがあったりするでしょ。逆にことばがわかったりすると興ざめしてしまうような歌もあるよね。それにジャズにしろ、クラシックにしろ、ことばを排斥してしまったところで成り立ってる。だからナレーションのわからないというのはわからないでいいものだなと思う。でもやっぱりわかったほうがいいだろうけれど、字幕で翻訳されたのを流してもらってまでわかりたいとは思わない。
 デレク・ジャーマンの映像というのは非常に絵画的だと思うのだけれど、もちろんこの『エンジェリック〜』でもそう。はじめのほうで明りがぎらっと光るその光線であるとか、絵画そのものだったりする。その上で、何がどう撮られているのがしばし判然としない映像があったりして、カメラが動いて初めてああそうなのねとわかったりするのだが、その判然としない映像の中に、なんらかの絵画が埋め込まれているように見えて、それがまた非常に心地よいのだ。
 さてと、わけわからないまでも、大きなテーマとして扱われているのがゲイで、ゲイに対して偏見を持っているのならパスしといたほうが無難。(^◇^;)ケ゛ロケ゛ロ〜ものになってしまうおそれあり。こういうのを見ているとゲイと「オカマ」というのは違うねぇ。ごくごくふつうのセクシャリズムとして見える。こういうのを若いころに見ていたら、ゲイとまで行かなくてもバイになった可能性ありだな(^_^ゞ そして、この『エンジェリック〜』直後に、デレク・ジャーマンはHIVに冒されていることがわかったといういわくありの一本なのでした。
 をー、そうそう、コイルの音楽が、なんでこんなにはまるのか、映像、音、ナレーションにほとんど陶酔しきって・・・・

The Angelic Conversation
製作 ジェームズ・マッケイ
監督・撮影 デレク・ジャーマン
音楽 コイル
出演 ポール・レイノルズ / フィリップ・ウィリアムソン / ジュディ・デンチ
★★★★☆



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2002年09月19日(木)
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