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 ▼ ジェラール・コルビオ『王は踊る』 (2000 独,仏,ベルギー)



 オフィシャル・サイトに「時代を輝かせた二人の男の秘められた苦悩と禁断の愛の物語」だなんて書かれてるけどねぇぇぇぇ、はてさて、かたや裸の王様ならぬ金粉の王様で、かたや権力志向を愛とはきちがえておる勝手な男。どこに「秘められた苦悩と禁断の愛」が読み取れるのやら。まさかホモセクシャルをさして「禁断の愛」などとはきちがえてるんじゃなかろかと。
 ラインハルト・ゲーベルが指揮したと言われてもそっちのほうはとんと門外漢なのでふぅーんとしか思いようがないんだけれど、実際にベルサイユ宮殿でロケをしたとか、これはラストシーンのところか、そのような映画そのものよりも話題(=ゴタク)先行でつまらない。
 元来ルイ14世なんてのはフランス権力者にとって飾り物でしかなかったわけで、その人物自体がおもしろかった(興味深かった)のかどうか疑わしいわけで、非常に「裸の王様」然としておったんじゃないかと思えるのね。そういう意味でいえばブノワ・マジメルはきっちりそうしたルイ14世を演じていたと思える。と、これは思いきりの皮肉ですね。CinemaScapeのコメントにも「王様は踊らない」とか書かれているように、肝心の踊りにしたって、へ???と?が3つほど付いてしまう。リュリ(ボリス・テラル)にしても自分を同化させてしまえるような人物とは程遠く、この二人に「二人の男の秘められた苦悩と禁断の愛」を語らせるにはちょっと無理がある。唯一モリエールを演ったチェッキー・カリョだけがこれまで聞き知っていたとは別のモリエール像を垣間見させてくれて、かの二人より格がずっと上の役者だと感じさせてくれた。

 中身がなくて、美術、音楽、装置その他もろもろで飾り立てただけ、まさに末期的フランス王朝を象徴しているかの様な映画だった。

Le Roi danse
監督 ジェラール・コルビオ
脚本 ジェラール・コルビオ / エーブ・ド・カストロ / アンドレ・コルビオ
原作 フィリップ・ボサン
撮影 ジェラール・シモン
美術 ユベール・プイユ
衣装 オリビエ・ベリオ
出演 ブノワ・マジメル / ボリス・テラル / チェッキー・カリョ / クレール・ケーム
★☆



2002年09月01日(日)
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