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■ ▼ アキ・カウリスマキ『コントラクト・キラー』 (1990 フィンランド スウェーデン)
カウリスマキをたてつづけに見ていて思った。これは漫画だな、と。しかもガロ漫画なのだ。ん?ガロで誰だと聞かれても困るののだけれど、とりあえずつげ義春ってことで。 それでつげ義春みたいな映画というと、はっきり言ってどうしようもなく暗いっす。だから、つげ義春のなんがおもろいのん?という人はカウリスマキ、この『コントラクト・キラー』に限らず、どれをみてもおもしろくないはず。お薦めしません。と、いうことは、逆につげ漫画が好きでたまらんという人はカウリスマキは絶対はまる。おもろくてたまらないのだ。 『コントラクト・キラー』でまず目をひくのは、誰でもそういうだろうけれど、ヌーベル・ヴァーグ俳優=ジャン・ピエール・レオーの起用。これがどんぴしゃ大正解。どうもつげの『やなぎや主人』の男に重なってくるんだけどね。 どうよ。これよりもっと似てる漫画の主人公が、ボクの頭のそこまで出かかってるのに出てこない。とにかく漫画なんすよ。 ネタばれ承知で書いてしまうと、リストラされて生きる望みを失ったアンリが自殺を企てるんだけれどことごとく失敗。有金全部はたいて、殺し屋を雇う(I Hired A Contract Killer)。で、酒を飲めないアンリがバーでやけになってウィスキーWを一気飲みしてるんだけど、このときの顔なんか最高。がぁ〜んと酔いがまわったときに目の前に現れる花売り娘マーガレット(マージ・クラーク)に一目惚れ。さぁそうなると、もう死にたくない。だがこつこつ靴音を響かせて自分が雇った殺し屋がやってくる。。。。 マーガレットがアンリに言う一言が効いてんだよな 「女はそういう考え方をしないの」
この殺し屋(ケネス・コリー)が癌で余命いくばくもない。さらにはアンリが逃げ込んだハンバーガーショップの主人ヴィック(セルジュ・レジアニ)、これは世捨て人となって生きている。ここらの配置も思いっきり効いていて、渋い、渋い。生と死をめぐる重ぉーいテーマでありながら、このタッチの軽さが何ともいえず気持ちいい。 そうそう、ずっと書こうと思ってたこと、カウリスマキの音楽の使い方もすごく好き。こんなにブルースがはまる映画もそうそうないね。いきなりのけぞってしまったよ。
I Hired A Contract Killer 製作・監督・脚本 アキ・カウリスマキ 撮影 ティモ・サルミネン 美術 ジョン・エプデン 出演 ジャン・ピエール・レオー / マージ・クラーク / ケネス・コリー / セルジュ・レジアニ / トレヴァー・ボーウェン / ジョー・ストラマ
★★★★★
2002年08月23日(金)
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