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 ▼ フェケテ・イボヤ『カフェ・ブダペスト』 (1996 ハンガリー・独)


 まずはきょうもハンガリーについてお勉強と、ハンガリ−政府観光局を調べると、《旅行荷物として持ち込めるもの》として、「カメラ1人当たり2台、 感光板 24枚、フィルム10本 」とある。う〜ん、いまだにそんなに不自由なのか、と変な感心を抱いてしまう。とにかくこの地図でハンガリーの位置関係を把握しておく必要あり。
つまりかつての冷戦時代には東側諸国のひとつでソビエト修正主義共和国、をっと通称ソ連です、その支配下にあった。まぁそういうところはいちおうボクの高校時代になんとなく勉強させられておったのですが、それ以降、冷戦終了後、ソ連邦崩壊という劇的歴史の前で意外とボクをはじめとして日本人はわかってないのね。だいたいソ連邦崩壊って、1990? ベルリンの壁は1989? うはぁ〜バブルで浮かれておったよ。
 はぁ、前置きはそれくらいにして、ってまだ前置きは書くつもりだけれど_(ロ_ロ)~ニヤッ、それ以前のソ連ってのは、限りなく不自由であったらしく、たとえばソ連に行くなら、何でもいいから、Gパン履いていくと、それがバカ高値で売れる、もちろん闇で、なんてことがまことしやかにっ流布してた。だからソ連邦崩壊で、若い連中が自由を求めてどっと西側へ移動し始めた。それ以前は移動する自由さえほとんど全くと言っていいほどなかった。いわゆる鎖国状態だったんだね。
 そしてハンガリー、ここは地図見てもわかるように、旧ソ連邦と、西側のいわば緩衝地帯のようなところに位置してる。旧ソ連邦→ハンガリー→オーストリア→イタリアという経路が考えられるのね。
 逆に、バブルという現象に端的に示されたように、西側というのは、病弊・腐敗しきってたわけで、西側から旧東側へ何かを、それが何かは彼らも判然としないのだけれど、東側への移動も可能になったという状況で、ここでハンガリーにクロスオーバー現象が生じた。
 って、こんなことを偉そうに書いてますが、ついきのうまでそんなことなどわかっちゃいなくて、どこから得たかというと、まさにこの『カフェ・ブタペスト』なんですねぇ。それくらい、そうした状況というのをうまくとらえて提示してくれている、これってヘタなドキュメントより格段にインパクトがあるよ。

 3組の男と女が、このクロスオーバーするブタペストで出会う。ここですごくおもしろいのは、3人の男、正確にはワジム(イーゴリ・チェルニエヴィッチ)とユーラ(ユーリ・フォミチェフ)の2人、そしてこれとは別に単独でセルゲイ(アレクセイ・セレブリャコフ)、彼らは旧ソ連邦から西側を目指していたのに対して、マギー(ヘレン・バクセンデール)、スーザン(キャロリン・ロンケ)は、西側から東側を目指す。またエルジ(マール・アーグネシュ)はブタペストにとどまって、その地からどちらを目指すわけでもない。この3組6人の設定が、さすがに監督・脚本のフェケテ・イボヤという女性の目なんですね。この6人の誰と誰がどうくっついてどうなったかは、明かさないでおこう。これとは別に情報屋(レオニード・マクシーモフ)という男の存在もおもしろい。彼の最終的にとった行動というのも、多分に女性から見た行動なんだよね。
 ある意味でこの『カフェ・ブダペスト』はシビアだし、それでいて救いがある。そしてまた思いきりせつない。そう考えると、同じように冷戦終了前後のクロスオーバーの地=ベルリンで撮られたベンダースの『ベルリン・天使の詩』、あれは男の目だなとすごく感じてしまったよ。
 そしてこれらの個々のドラマを連ねるように東欧の音楽やジャズが繰り出されて、この音の使いかたももう最高。文句無しの5つ★だね。

Bolse Vita
製作 ダールダイ・イシュトバーン
監督・脚本 フェケテ・イボヤ
撮影 サライ・アンドラーシュ
音楽 ユーリ・フォミチェフ / ムク・フェレンツ
出演 イーゴリ・チェルニエヴィッチ / ユーリ・フォミチェフ / アレクセイ・セレブリャコフ / マール・アーグネシュ / ヘレン・バクセンデール / キャロリン・ロンケ / レオニード・マクシーモフ
★★★★★



2002年07月07日(日)
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