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■ ▼ フリッツ・ラング『ドクトル・マブゼ』 (1922 独)
80年ですかぁ(゜゜)トオイメ フリッツ・ラングの初期のクライムもの。株価を操作したり、偽札造りをやらかしたり、さらには変装と催眠術をたくみに駆使して賭博で相手を陥れたり、揚げ句の果てに、女をたぶらかして誘拐拉致軟禁と、荒唐無稽とはこのことをいうのだった。そして、ドクトル・マブゼの奸計に陥れられながらも、マブゼを追いつめていくヴェンクとの迫真の闘いは、さながら明智小五郎と怪人二十面相。ひょっとして江戸川乱歩はこれを下敷きにしてたかもなのです。 現代のようにあらゆる技術を総動員したクライムものやサスペンスなどにくらべると、そりゃハラハラドキドキ感は期待できないんだけれど(だいたいここらあたりを観ようというのにそんなハラハラドキドキ感は期待なんかしてないだろう)、それはそれなりに楽しめます。第一、怪しさは逆に200倍!(どこから割りだした値かは知りません。口からでまかせです。)催眠術をかけるときのマブゼの目の怪しさといったら、ヘタすりゃ観てるこっちまでかけられんじゃないかというくらいのすごみがあります。冒頭のカードを開いていくシーンなんてわくわくさせられるくらいに怪しくて素敵。ラストの亡霊とカードを引いていくのも凄みがあるなぁ。 まわりの人間どもがまた怪しい。コカイン中毒のマブゼの執事とか、いったいラングってほんとこういう危ない目をした役者が好きなんだから、たまりません。それと女優陣、マブゼに見捨てられるカーラ役のアウド・エゲーテ・ニッセン、これまたサイレント時代の典型的美人なんだけれど、後半、最初の牢獄の中で彼女の顔に光と影が揺れるシーンなんて、ハッとさせられるよ。トルド伯爵夫人のゲルトルート・ベルカーはねぇ、艶ホクロが..なんでマブゼがカーラからトルド夫人に心変わりしてしまうのか、ボク的にはエゲーテ・ニッセンのほうがいいと思うんだけど。ラング得意の群集といえば、株式市場での山高帽の群集。何人暑めんだってくらい、山高帽がうにょうにょ蠢いてる図は一見の価値あり。 あと、当時の実験的なところといったら、走る車の前を、ヘッドライトのように光る文字が駆け抜けていったり、今だと当たり前にできてしまうモーフィングとか、結構楽しめます。 そうそう、この脚本のテア・フォン・ハルボウはこの映画を撮るまで、マブゼのルドルフ・クライン・ロッゲの嫁さんだったけど、彼と別れ、フリッツ・ラングと再婚。その後、ラングとともに『メトロポリス』、『M』といった名作を次々生み出して行ったのだそうです。最後に マブゼ自身の言葉「表現主義なんて賭博のようなものじゃないか」
Dr. Mabuse Der Spieler 監督 フリッツ・ラング 脚本 テア・フォン・ハルボウ / フリッツ・ラング 原作 ノルベルド・ジャック 撮影 カール・ホフマン 美術 カール・シュタール・ウーラッハ / オットー・フンテ / エリッヒ・ケテルワット / カール・ボルブレヒト 出演 ルドルフ・クライン・ロッゲ / アウド・エゲーテ・ニッセン / アルフレート・アベル / ゲルトルート・ベルカー
★★★★
2002年05月13日(月)
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