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 ▼ マルセル・レルビエ『人でなしの女《86年復元サウンド着色版》』(23 仏)


 「人でなしの女」と呼ばれる人気歌手クレール(ジョルジェット・ルブラン)のもとに言い寄る男たち。その男の闘いに負けふられた科学者エイナー(ジャック・カトラン)は自殺を企てる。人気歌手のスキャンダルとあって騒然となる。そこへ実は狂言だったと、クレールの前に現れたエイナーはちゃっかりクレールの気を惹いてしまって(なんか単純)、自分の研究所に連れて行き、クレールの歌声を電波に乗せてやる。エイナーにクレールをかすめ取られたマルセル・プラドー?は腹いせにクレールをアジアの毒蛇を使って殺してしまう。あわてたエイナーはクレールを研究所に運び込み、まだ使ったことの無い蘇生装置を用いてクレールを生き返らせる。めでたし、めでたし(^^)// ハクシュハクシュ 以上。って、をい、待てぃ!
 なんかはちゃめちゃだねぇ、ストーリー的に。自殺やらかしたと世間を騒がせて、自分を悩ませた男を簡単に許すのかい。ふられた腹いせに、女を殺すというのはままあるかもしれないが、その手段がアジアの猛毒の蛇だってぇぇ。一見コブラみたいだけれど、ハブのようでも。で、コメディーでもなくてなかば大マジだってんだから。
 って、あんた、何を見てござる? ここんとこは当時アバンギャルドと言われ、『ゴダールの映画史』にも引用される様々なテクニックを見やんでどうする。そしてパリの通りに名を残すマレ・スティバンの手による前衛的な装置を見るべきよ。
 と、映研じゃないんだから、小難しい話はおいといて、このジョルジェット・ルブランという女優さんはいかにもサイレント時代の美人という顔であります。少なくとも現代的じゃないです。それに対して、エイナー役のジャック・カトランという男優、男だよね、こっちのほうが艶っぽい。ヅカから抜け出してきたような顔立ち。そしてクレールの邸宅にいる4人の下僕の顔がすこぶる素敵。シュールだぁぁ。この下僕たちを見ずして語れないよ(笑)
 で、やっぱり、ををーーとのけぞるのは、マレ・スティバンによるセット。これだよ、これ。キューブリックなんか、スティバンのセットの前では平身低頭で歩くってぐらいイケテル(←死語ですかねぇ)。それに窓からのぞいて見えるアンテナ、いや電波塔の無機質なのがまたいい。天井からぶら下がるボンボン振り子だったり、それから、それから、現代のCGでさえものけぞってしまうアジアの猛毒をもった蛇。。。。闇鍋状態でたまりません。
 ボクが見たのは'86年リメイク版。サイレントなので当然モノクロですが、シーンによって、上の写真(グレースケールだったのを、フォトショップでボクが色着けてみた)のように色づけられてます。この彩色のポリシーについてはどこだったかに書かれていたけど、英語だったのでしんどいから読んでません。それと音、かなり(゜o゜)ヴァンギャルドジャズっぽい音で、ををっと思ったんだけど、さすがに2時間鳴り続けるとしんどくなってきた。原版の音はどんなんだったんだろ

L'inhumaine
監督 マルセル・レルビエ
装置 マレ・スティバン
音楽 グリウス・ミヨー
'86復元 パトリック・ブルーニ(プロデューサー) / ジャン・クリストフ・デヌー(音楽)
出演 ジョルジェット・ルブラン / ジャック・カトラン / フィリップ・エリア/ マルセル・プラドー
★★★★



2002年04月29日(月)
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