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 ▼ アニエス・バルダ『百一夜』 (95 仏)


 アニエス・バルダ版『映画史』ってところ。だからってゴダールのようにずしっと重くはなくて軽いタッチなのが小ジャレてて、ずっとお気楽に見れてうれしい。
 いちおうのストーリーね。映画フリークの女子学生カミーユ(ジュリー・ガイエ)はアルバイトに、100歳になるムッシュ・シネマ(ミシェル・ピコリ)のボケ防止のために、百一夜にわたって映画談義をする、というか、カミーユ相手にしゃべりまくる。そのバイト中に、ムッシュ・シネマ氏にホンモノ(笑)のマルチェロ・マストロヤンニがやってくるわ、なんとリュミエール兄弟がやってくるわ、もうフリークのカミーユにとってはたまらない。ところがその莫大な財産をボーイフレンドのミカ(マチュー・ドゥミ ― ジャック・ドゥミとバルダの間の息子)の映画制作費にあてようと企んだり、果てはムッシュ・シネマを彼の映画に出演させようと、ほんでどうなったんだぁ?あ、なんかわからんわぁ(笑)
 とにかく出てくる、出てくる、ドロンだわ、ジャンヌ・モローだわ、ロマーヌ・ボーランジェだわ、ベルモンドだわ、だわだわわわわわ、ををををを〜でストーリーなんかぶっとんで、池ではドヌーブがボートに乗って、ごつんごつん(笑) どういうわけだか、最後にはシネマ氏の財産をマストロヤンニがかっさらっていくと。要は、まともに見ちゃダメよぉ(笑)
 シネマ氏のベッドのヘッドボードにはめ込まれた画像がころころ変わったり、MGMだと屋敷の庭をライオンが歩き回ったり、自転車盗まれたら「おー、ネオリアリズモだ」なんてしゃれてみたり、『軽蔑』のくだりには思わずニンマリ。というふうに、わかるヒトにはわかる。ワカラン{?。?`}ヒトには何じゃそれのオンパレード。かくいうボクもどんだけわかってたんだか。
 しかし次から次へと飛びだす名場面集に嬉し涙。 『列車の到着』『アンダルシアの犬』から、当然、『シェルブールの雨傘』ありーの、かと思えば、『パリ、テキサス』や『汚れた血』なんて比較的こっちのまで。
 思いきり笑えるんはシネマ氏の屋敷に日本映画の部屋なんてのがあって、そこに観光バスで日本人観光客がどっとやってくる。。。なんて、バカにされてんだか、リスペクトされてんだか。それとハリウッドの「わたしはホンモノのハリソン・フォード」
 とにかくこれは、リュミエール兄弟の『グラン・カフェ』に始まる映画100歳の誕生パーティー。ごっちゃごっちゃ言うより、ただ見ればよろし。見たからどうだってモンじゃないけど、こういうの見るとボクは、♪〜アレも見たい、コレも見たい、みんな見たい〜状態になってしまうのでした。

Les Cent Et Une Nuits
監督・脚本 アニエス・バルダ
撮影 エリック・ゴーティエ
美術 シール・ブアタール / セドリック・シモノー
出演 ミシェル・ピコリ / マルチェロ・マストロヤンニ / ジュリー・ガイエ / マチュー・ドゥミ / ロマーヌ・ボーランジェ / アラン・ドロン / ロバート・デ・ニーロ / ハリソン・フォード / カトリーヌ・ドヌーブ / ジャンヌ・モロー / ジャン・ポール・ベルモンド / ジェラール・ドパルデュー
★★★★




2002年03月31日(日)
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