nikki-site 雑文速報
 あいうえお順INDEX 



 ▼ 竹中直人『東京日和』 (97 日)


 これって、どうこう言いにくいよ、まったく。確かにね、なんで中山美穂なん?と、ともとれるよ。どうしても荒木陽子に重ねてみてしまうから。同じように竹中直人にしてもそう。でも竹中直人の場合は、自分が監督やってんだし、アラーキーとも親交が十分にあってのことだからいいとして、中山美穂は辛いよね。だから元ネタは荒木経惟・陽子の『東京日和』にあったとしても、全く別ものとして見てやるべきかな。少なくとも中山美穂については。
 竹中直人にしてもある程度のスタンスをとろうとしてるのはわかるんだけど、ちょっと中途半端な気がする。何枚もの画像で表現されたものを、しかもアラーキーの思い入れたっぷりに完成されたものを、映像で表現しようとするんだから、思いきり難しかったと思う。そんなことは重々わかっていての製作であっても、その段階で段階でそのスタンスにかなりの揺らぎがあったのではないか。だから、なんだやっぱりこの程度なのかというより、よくここまでやったなという気がするのね。だからって★5つってわけじゃないんだけど。。。だいたいアラーキーの画像って、誰にでも撮れそうで撮れないよぉ。それを映像でやってしまおうってんだから、どだい企画自体に無理があったんじゃないか。だから例えば、シ−ンを凍らせてアラーキー自身の画像を挟み込むとか、手はあったかもしれないけれど、それも権利関係などで無理だったのかもしれない。でもそいう演出方法なんてボクが見ながらふっと思いついただけのことだから、そんなものなくてよいです(笑) 逆にガス台のシールに《谷口》の判を見つけてセンチメンタルになるなどというのは写真家アラーキーからずっと離れて、アラーキーを含めた僕たちに近づいてるなと。とにかく観る側もアラーキーから離れて観ようとしないかぎりつまらないだろうな。
 これを見終わってすぐに、荒木経惟・陽子の『東京日和』を出してきて読み返した。思わずうるうるになってしまって。。。。ほんとに中山美穂と荒木陽子とはまったく違った。本の中にも出てくる同じことが演じられていても全く違った。それでもきっちり中山美穂が引き鉄になっていたにちがいない。竹中やアラーキーのお友達連中でわいわいやってる、(中島みゆきはまりすぎ!あのままママデビューできるって)そのなかで、ああいうキャラでしか演じれないんだろうけれど、『Love Letter』に比べても、中山美穂ってどんどん良くなってるなあと思う。
 ラストでアラーキー自身が出てくるじゃない。あの出て来かたがすごくうれしかった。竹中直人にぴたっと重なって、その後ろからにこにこして出てくるんだもん。アラーキー本人が、これはこれで納得してるんだから、外野からとやかく言えないなぁと思ってしまったんだよ。


監督 竹中直人
脚本 岩松了
撮影 佐々木原保志
美術 中澤克巳
音楽 大貫妙子
出演 中山美穂 / 竹中直人 / 松たか子 / 鈴木砂羽 / 浅野忠信 / 田口トモロヲ / 利重剛 / 温水洋一 / 山口美也子 / 塚本晋也 / 周防正行 / 森田芳光 / 中島みゆき / 荒木経惟 / 久我美子 / 藤村志保 / 三浦友和
★★★☆



2002年03月30日(土)
 ≪   ≫   NEW   INDEX   アイウエオ順INDEX   MAIL   HOME 


エンピツ投票ボタン↑
My追加