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 ▼ ジャック・ドワイヨン『ポネット』 (96 仏)


 ボクががっつり弱いもんがこういうガキんちょモン。ほとんど避けて通っています。
 それでも世の中いろいろだからそりゃすげぇーーガキがいたところでおかしくないんだけれど、ガキんちょというだけで成り立ってしまうのがどうもね。ほれ、テレビなんかでもよ《小学校1年生で積分ができる!》なんていうのあるでしょ。鼻持ちならない。その場合、ガキんちょということでハンディキャップもらってるんだけど、ボクは逆にガキんちょということで割り引いて見てしまう。
 
《たった4歳の少女ポネットのひたむきな祈りが、世界中を涙でつつみこんだ――。》

 これだもん。やめてよねぇ。CinemaScapeのコメントに《料理番組を見て「食欲」が、AVを観て「性欲」が刺激されるのと同じ原理》というのがあったけれど全くだ。そしてAVは観たくないという人がいるのと同様に、ガキんちょもんは観たくない。お涙誘われたくもなければ、お涙誘われもしないから。性欲かきたてられもしなければ、性欲かきたてらたくもないというのと同じね。
 じゃあ、なんで観たんだよぉーって、知らなかったんだよ、「ポネットのママは事故で死んでしまった。幼いポネットにわかるのは、ママがいなくなったことだけ。きっと会いに来てくれる…。」なんてストーリー。ただジャック・ドワイヨンの名前だけで前からチェックはしていて、ビデオのパッケージ見たときにヤバいとは思って避けてた。
 
 '96年ヴェネチア国際映画祭 主演女優賞です。このポネットのビクトワール・ティビソル。もちろん史上最年少です。って、そんなもん売りになるのか? が、しかし、観たら、主演女優賞を3つも4つもあげてしまいたくなることも間違いない。ただし、主演女優というからには、それぞれのシーンの意味だとか、そのシーンで自分がおかれている立場だとかを理解して、その上で演技してみせてのこと。これをやってのけてるのだったら、それは凄すぎる。マジ、それはそれは凄いよ。並のオトナじゃできないくらいの演技だよ。が、しかし、「お母さんといっしょ」に出ていて不思議でないビクトワール・ティビソルが「演技」としてやってのけたというなら、それは到底信じられないし、絶対に受け入れたくないね。
 この『ポネット』の秘密というのは、他のガキんちょモンと違って、その80%以上のシーンがガキんちょ同士のカラミで成り立っているということ。「お母さんといっしょ」に出てくる幼稚園に行くかどうかくらいの子どもたちだけで成り立っている。実際に従姉弟のデルフィーヌ、マチアスは実名だし、ポネット役のビクトワール・ティビソルにしてもひょっとすると「ポネット」というのは彼女のニックネームだったかもしれない。そういう子どもたちを集めて、彼らの生の演技でない行動を撮り集めていった。それでいうなら、ごみ箱に入るシーンなんてむちゃ好き。うん、うん、ある、ある。子どもって、オトナが思いつかないようなことできるからね。だから、ポネット一人や、オトナとの絡みのシーンなんかより、子どもたちだけのシーンの方が何倍も何倍も楽しかった。
 もちろん生の行動だけなら、話にならないからある程度は演技としての部分もあるだろうけれど、指示を単に喜・怒・哀・楽だけにとどめて、それを増幅させていったんじゃないのか。そうすると、主演女優賞はジャック・ドワイヨンに与えられるべきだと。つまりビクトワール・ティビソルから引きだした監督の手腕、また編集によるものだとボクは思う。ただ、ビクトワール・ティビソルは『ショコラ』にも出ているようだけど、そのシーンにあった所作なり、ビックリするような表情が、本人も知らないうちに滲みだしてくる「女優」なんだろね。本来「女優」って、そんなもんかもしれないけれど。

 やっぱりガキんちょモンはボクには鬼門だった(^_^ゞ

Ponette
監督・脚本 ジャック・ドワイヨン
撮影 カロリーヌ・シャンプティエ
音楽 フィリップ・サルド
出演 ビクトワール・ティビソル / グザビエ・ボーボワ / デルフィーヌ・シルツ / マチアス・ビューロー・カトン / レオポルティーヌ・セール / マリー・トランティニャン / クレール・ヌブ
★★★




2002年03月27日(水)
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