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 ▼ ヴィム・ヴェンダース『ベルリン・天使の詩』 (87 独,仏)


 なんとも言い様がないなぁ。。。。(なんて書きだしたら逆に長くなりそう。
 といのも《天使のまなざしによる生の肯定》なんていうコピーがなんとも居心地が悪いんだよ。たしかに天使は天使かもしれないけれど、日本人のイメージとして天使というのはどうも《Engel(独)》でしょ。原題は『Der Himmel Uber Berlin』。ただダミエル、カシエルってのは飛天系の天使からとられてるのは明らかだから、天使はいいとしよう。森永エンジェルを想像してしまうのはこっちのイメージの貧困ってもんか。英語圏でのタイトル『Wings Of Desire』というのもどうだかなぁと思うんだけどね。
 それでも「まなざし」ってのもないだろ。なんか「天使のまなざし」なんて来たら、ますます森永エンジェルじゃんか。それだけじゃない「生の肯定」なんてね、なんだかなぁ。。。こそばゆい。たしかに「生の肯定」でわかるんだけれど、そうふりかざされると逃げ出したくなる。それでもそれも確かにそうだから、はいその通りでございます。
 うううううむ、「わたしたちにそっくりの人間が出てきた」というのだから、人間にそっくりの天使で、しかも森永エンジェルとはかけはなれた男二人だから、どうもそこんところがピンと来ないんだよなぁ。そう別に天使でなくてもよかったんだよ。あくまで「天使」というのにこだわっております。
 それから、色の問題。モノクロといっても、これはもともとモノクロフィルムで撮られたものじゃないでしょ。カラーフィルムで撮ったものを処理して、モノクロにしたもの。確かに見るサイドによって色の使い方を変えたというのはわかるのだけれど、あまりにくっきりしすぎてないか? 思うにヴェンダースってのは視点をがらっと変えるというのがお好きなのだ。マリオンの裸を見たときに一瞬カラーになるのは、天使でもその瞬間には人間に戻るということなのかい(微笑)
 とかなんとか、文句をつけようつけようとしてるのだけれど、やっぱりこれ完璧に近い出来なんだと思う。空中ブランコのフォルムは最高だし、ポツダム広場や図書館はぐさっと来る。
 だけど、だけど、なんだよなぁ。どこか違う。びたーっと来ない。出来すぎてわざとらしい映画という印象が強い。「生を肯定」しすぎるあまりに、いろんなことを取り込みすぎてるからかもしれない。
 ピーター・フォークの使い方にしてもコロンボはコロンボだけれど、気に入らない。《ピーター・フォーク=コロンボ》というのは、この『ベルリン・天使の詩』 のテーマに最も反していることなんじゃないのか。

 ボク的には『堕天使の詩』を観たい。

Der Himmel Uber Berlin
監督 脚本 ヴィム・ヴェンダース
撮影 アンリ・アルカン
美術 ハイディ・リューディ
音楽 ユルゲン・クニーパー
出演 ブルーノ・ガンツ / ソルベイグ・ドマルタン / オットー・サンダー / ピーター・フォーク
★★★☆





2002年03月24日(日)
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