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 ▼ ルキノ・ビスコンティ『郵便配達は二度ベルを鳴らす』 (42 伊)


 こりゃああ、郵便配達はどうなっとんのじゃああああ! 三通どころか一通も郵便は配達されず、ついに郵便配達は一度たりとも現れないじゃないの。って、文句を言うてもどもならんわけでして、原作の方は郵便配達がやってくるらしい。そこを天下の素浪人ジーノ(マッシモ・ジロッティ)に置き換えたところに、この映画の勝ち、価値があるのですね。
 それに『Ossessione』という原題は「妄執」という意味で、「二度ベルを鳴らす」なんて意味が含まれてない。『郵便配達は二度ベルを鳴らす』というタイトルは意味深で素敵。だからこそ、みんながタイトルだけでも知ってんだね。
 ※この原作通りのタイトルが映画で使われたのは テイ・ガーネット監督の46年版からのよう
 どうせ映画の内容は知ってるだろうけど、復習しておくと、イタリアのど田舎のドライブイン(飯屋)に流れ着いた流浪人(浮浪者というんでもないな)が、そこの嫁さんジョバンナ(クララ・カラマイ)に岡っ惚れ。どっちが先にモーションかけたんだか、ジーノが確信犯というのは確か。どっちでもエエんだけど。できちゃった二人は旦那(ジュアン・デ・ランダ)を殺ってしまう。今、見たら絵に描いたようなよくある話(ようあったらヤバイか(^_^ゞ)。まぁ、これとて下手すりゃ火曜サスペンス。
 ところがこれをやってしまったのがイタリア・ネオリアリズモの旗手ルキノ・ビスコンティ(しかもなんと監督デビュー作だったのだ!)だもん。白黒で色が飛んでしまったというか、露出オーバー気味にアップで捕らえたクララ・カラマイやマッシモ・ジロッテの顔がすごいの。とくに クララ・カラマイの顔がどんどん変わっていくのがむちゃくちゃにいいのだ。そういうふうに自分の夫を殺してしまったあとに、どんどん穴にはまっていくクララの顔は迫真のものがある。とにかくこれ暑苦しいよ。ラスト近くでカフェで張ってるクララの顔なんて忘れられないって。それはそれとしてボクはパーティーのシーンなんかもとても好きだ。
 思わず、男と女のどろどろと見てしまうけれど、「拘泥」と「自由」と考えると強すぎるかな、「安住」と「流浪」。。そのあたりを対比させてみると、うんうんと頷けておもしろいな。

Ossessione
監督 ルキノ・ビスコンティ
脚本 ルキノ・ビスコンティ / ジュゼッペ・デ・サンティス
原作 ジェームズ・ケイン
撮影 アルド・トンティ / ドメニコ・スカラ
音楽 ジュゼッペ・ロサーティ
出演 クララ・カラマイ / マッシモ・ジロッティ / ジュアン・デ・ランダ
★★★★☆



2002年03月03日(日)
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