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 ▼ フランソワ・トリュフォー『隣の女』 (81 仏)


 ある日、いきなり隣に昔の女が偶然引っ越してきたら...
 こんなもんただのメロドラマだろと片づけてしまえれば簡単なんだけど。というか、はいはいで済まされない年になってしまったのかな。
 平穏無事に親子3人で暮していたベルナール(ジェラール・ドパルデュー)の隣に、引っ越してきた夫婦、その嫁さんが昔の女マチルド(ファニー・アルダン)だったという、そりゃないぜセニョリータな設定。これ絶対困ります。こういうのってないことはないはず。高校時代の同期生が同じマンションに住んでいたなんてよくあるじゃんね。それもかつてただならぬ関係にまでなっていた二人なら穏やかでおられるはずがないし、仮に穏やかでいられたら、その昔はいったい何やったんやということになるわなぁ。昔といっても8年ですかぁ、一番危険な頃だな(^_^ゞ 
 それでこの二人がどうなることやら、書いてしまうとおもしろくないから書かない。ヤブヘビになりかねんし(苦爆)
 マチルドが描いた絵本の中で、窓ガラスが割れ子どもが血を流している絵が映しだされるのだが、このあたりからドラマが急にサスペンスじみてくる。ベルナール夫妻が出かけた留守中に、マチルドが彼らの子どもに家の中に招じ入れさせるくだりなどは、をいをい話がそんなほうに進んでいってしまうのかいとはらはらさせられる。このラッシュ試写で、スタッフの一人が「まるでフィルム・ノワール」と言ったとか言う話もあるほど。こういう話だと下世話なほんとメロドラマになってしまうところをさすがトリュフォー。かの池田満寿夫はトリュフォーでこの『隣の女』が一番だと言ってたんだってね。
 トリュフォーだからこその文句つけとくとすりゃ、なんでテニスクラブのボヤで、他にもいっぱい人がいるのに、マチルドが駆けていって消火器ブシューっとするんだか。そのあとの展開に結びつけるためとは言え、話の流れからして無理があって、とってつけたようにしか思えない。トリュフォーらしくないな。それとテニスクラブ・オーナーのマダム・ジューブ(ベロニク・シルバー)のところに電報をもってくるシーンだって、トリュフォーらしいといえばトリュフォーらしいけれどあれも引っ張りすぎだって。救急車が走るところはこれぞトリュフォーとにんまりさせてくれますがね。
 と、いうことで、ベルナール、マチルド、さらにはベルナールの嫁(ミシェル・ボームガルトネル)、マチルドの夫(アンリ・ガルサン)、4人それぞれの男と女のありようを描き出して、誰のせいでもありゃしない。ベルナールを責めるわけにもいかず、マチルドを責めるわけにもいかず、こうした色恋沙汰はなるようにしかならないのだなと痛感させられたのであります。
 うーむ、フランスのラブホって。。。。あ、ラブホじゃないのか。をっと、このマチルド役のファニー・アルダン、トリュフォー晩年の愛人なのでありました。

La Femme D'a Cote
監督 フランソワ・トリュフォー
脚本 フランソワ・トリュフォー / シュザンヌ・シフマン / ジャン・オーレル
撮影 ウィリアム・リュプチャンスキー
出演 ジェラール・ドパルデュー / ファニー・アルダン / アンリ・ガルサン / ミシェル・ボームガルトネル/ ベロニク・シルバー
★★★★



2002年02月23日(土)
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