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■ ▼ ジャン・ルノワール『草の上の昼食』 (59 仏)
『草の上の昼食』じゃなくて『草の上の昼寝』だな(笑) 冗談じゃなくて笑ってるうちにいつの間にか引っ張り込まれてしまう、そんな映画。 例えば、ネネット(カトリーヌ・ルーベル)が最初にアレクシ教授(ポール・ムーリッス)のところに訪れたとき、使用人部屋の3人の芝居がかった演技がすごくおもしろい。その後ろで肉をぶった切ってたりもして。そのような映画でなくて芝居的な演技のおもしろさがあっちこっちにあるのね。ネネットの家族のシーンなんかもそう。(爆)って笑いじゃなくて、思わず笑ってしまってる。ほんわかとした笑い。 ほとんどがロケで、そうそうプロバンスなんだ。決して映像的に凄ぇーと唸らされるような風景がひろがるのでもなくて、日本でもありうるようなごくありふれたド田舎の風景。だけれども、すごく緑が濃くて、たしかにこの映画は目に優しいかもしれない。このプロバンスの自然の描写もひとつの見もの。そしてその緑の中で、ネネットの赤いスカートがひときわ冴える。まわりに登場する人物の衣装の色目を極力押さえて、ネネットのスカートの赤1本に絞っています。 プロバンスというと、プロバンス料理。というわけで、窯の中で鶏の丸焼き。オツにすましたフランス料理じゃなくて、プロバンス料理というのはたかがフランスの田舎料理。鶏を焼く窯がいかにもプロバンスっぽくていいのだ。そしてその料理を目の間にしたネネットの太ったオヤジ(田舎のおっさん) 「肉を取ってくれ、柔らかいところだ、かたいところもだ、魚もとってくれ。野菜はいい、太るからだ。人生は楽しい。」 このセリフが全てを表しているといって過言じゃないでしょ。 人工授精によって優秀な人類を造っていこうという生物学者アレクシのところに、人工授精をしてほしいとやってくるネネット。なんて書くとすごく硬質なように思えるけれどそんなんじゃないから。それが自然の中で、またその自然の中で生きてきたネネット、そして家族の中で「草の上の昼寝」をしているうちに自然と目覚めていくハッピー・FINなお話。頭を悩まされることもなんもなくていいよぉ。
La Dejeuner Sur L'herbe 監督・脚本 ジャン・ルノワール 撮影 ジョルジュ・ルクレール 出演 ポール・ムーリッス / カトリーヌ・ルーベル / フェルナン・サルドゥー / ジャクリーヌ・モラーヌ
★★★★
2002年01月31日(木)
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