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 ▼ パトリス・ルコント『タンゴ』  (92 仏)


 数日前の『キルト〜〜』が女ばっかし集まってああだこうだなら、この『タンゴ』は男3人、しかもおっさん3人集まってのああだこうだ大会。ボクが男だというのもあるけれど、心情的にずっとこっちのほうがよろしい。アホだね、男って。
 だいたい別れた女に未練残ってどうしようもないというのを、はたから、じゃあその女を殺してしまえば未練もへったくれもなくなるじゃないかと、ほんとアホでしょ(笑) いくら未練たらたらのボクでさえもそう考えないけど。

 男ってだいたいできもしないこと口にして楽しんでいる。有言不実行というのでもなくて、誰が聞いても実行できない絵空事を言いあって楽しんでいる、カタルシスを得ているというところがある。それに対して女は気がついたらやっちゃってた。『キルト〜〜』なんて、事後にグチグチの典型みたいだと思うんだけど。。。(この項、反論必至だろうな(笑))
 で、その絵空事の第1弾というのが、浮気した女房をヒコーキに乗せて宙返りで落としてしまうという。これって、ほんと絵空事の典型。実際にこんな殺し方をしたのておるのか? そういう絵空事であっても映画の中であっても(映画の中だからこそ)、見せてくれるというのは痛快そのものでしょ。そして浮気相手の男が乗っているクルマを空爆。この前半のヒコーキのシーンはすかぁーんと抜けていてすごく楽しいのだよ。このヒコーキ乗りヴァンサンがリシャール・ボーランジェで、がらがら声で渋い、渋い。
 ポール(ティエリー・レルミット)とマリー(ミュウ・ミュウ)の夫婦が、これまた痴話喧嘩から、マリーはさっさと出ていってしまう。そこに現れるのが衛星屋作兵衛、あ、いや、ポールの叔父(フィリップ・ノワレ)が上に書いたように殺してしまおうとそそのかしにかかる。この叔父というのがヴァンサンの嫁墜落殺し裁判の判事という設定で、ヴァンサンに有罪にしてしまうぞと脅迫し、マリーの刺客に任命。とまぁ、無茶苦茶でしょ。
 して、この3人でのマリーを追いかける珍道中が始まる。3人3様にとてもクセがあって、アクが強くて、乗りが軽い。この軽快さが暗くじめじめした感じがしないのがいい。精子が欲しい、という女と青姦やってみたり、3分で女を口説き落としてみたり、これだって現実にはありえないこと。目くじら立てないの(笑) あくまで男集まったときのバカ話の域を出ない絵空事。映画の中だからこそできうる話。そんなことよりラテンとみごとにシンクロした軽快さを存分に楽しんでよ。絶対、損はしない。ふふふと思えることいっぱいあるし。。。

Tango
監督 ・脚本 パトリス・ルコント
撮影 エドゥアルド・セラ
音楽 アンジェリーク・ナション / ジャン・クロード・ナション
出演 フィリップ・ノワレ / リシャール・ボーランジェ / ティエリー・レルミット / ミュウ・ミュウ
★★★★




2002年01月26日(土)
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