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■ ▼ フリオ・メデム『ANA+OTTO』 (98 スペイン)
出会いや別離、それからすれ違いは偶然なのは当たり前のことだが、その偶然の話もあまりにでき過ぎていると、全くつまらなくなる。そういう見本のようなもの。偶然が重なるごとにどんどんつまらなくなっていく。そりゃ、人生なんて偶然の積み重ねだけれど、できそこないの偶然というのが混ざるからおもしろい。現実に起こってしまうドラマの方がおもしろいと思う。 それはそれとして、映画の作り方が丁寧な感じがする。これこれを見せておいたら観客は満足するだろうなんて作りじゃなくて、物語の組立自体、非常に整合性があって無駄が無い。それが逆にできすぎた偶然ということになってしまうのだから、すごく裏腹なもんなんだなぁと思ってしまう。 ANAとOTTOの逆さまから読んでも同じという二人交互の立場から独白していく作り方、これが決してイヤミったらしくなってない。そしてFin-Landsで終わるというふうにドラマの構成もすごく理詰めで整理されている。二人交互の独白なのでそのことで生じる時間の巻き戻し、切り上げというのも完璧に近い。だがこれらもあまりに整合性がありすぎるのが逆に不満が残ってしまう。あ、あれはそういうことだったんだとずいぶん後になってから気づかされるということもなく、わかりすぎてしまうんだよ。だから、あのラストであってもフリオ・メデムが用意した結末に納得させられなければならない。 嫌いじゃないし、むしろどっちかというと好きなほう。二人の初えっちなんてほんと胸キュンだし、何よりも白夜の沈まない太陽は美しい。でももう少し遊びの部分があってもいいのじゃないか。ドラマになりすぎてドラマにならないドラマという気がして。。。。
Los Amantes Del Circulo Polar 監督・脚本 フリオ・メデム 撮影 ゴンザロ・F・ベリディ 出演 ナイワ・ニムリ / フェレ・マルティネス / サラ・バリエンテ / ペルー・メデム / クリステル・ディエス / ビクトル・ウゴ・オリベイラ / ナンチョ・ノボ
★★★
2002年01月25日(金)
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