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 ▼ ジェームズ・アイボリー『眺めのいい部屋』 (86 英)


 '87年アカデミー賞3部門(脚色賞/美術賞/衣装デザイン賞)のほかに、なんじゃかんじゃいろいろ賞をもらっとるけど、そんな映画なんか? 美術賞/衣装デザイン賞ってのはわからんでもない。フィレンツェの街並みをはじめとして、文字通りの『眺めのいい』映画ということには文句はない。これは誰だってそう思うでしょ。たいそうなセットを使っていかにもそれらしく作られていても質感的に安っぽかったりする映画も多いけれど、これはずっしり重い。ホンモノ。ただしボク自身、フィレンツェには行ったことないので、ほんまにあんなに塑像が立ち並んでるのか、ほんとだとしたらすげぇーなぁと感心しきり。それで現在も同じように立ち並んでるんだろうか、そうしたらこいつをロケしたときなんか大変だったんだろうなとか、ぼーっと観てしまってた。話がイギリスに戻ってからも、ルーシーの家の書庫というか、ずらっと本が並んだ部屋なんか、ほんと凄いの一言に尽きる。
 で、映画そのもの、と、いうのも変か。美術とかすべてトータルして映画なんだから、んーと、上に書いたようなことをさっぴいて観たらどうかってことなんだけど、これはもうはっきり言ってずばり漫画です。どこらあたりの漫画かというと桜沢エリカとか森園みるくってところ(笑) あ、これは評価してるんですよ。 あのずしっとした美術・装置で、さらに生真面目にやられたら疲れてしまいます。さらっと、あらららと、肩透かし喰らわせてくれるから、観てられるんだけどね。完璧にコミックですねぇ。でもなんかなぁ、世間一般の評判みたいにいいようには思わないんだけど。。。どうなんだろ。
 筋立てとしてはすごく簡単。なんのひねりもないし、ラブ・ストーリーにありがちな障害なんてなぁ〜〜んもありゃせん。婚約者セシル(ダニエル・デイ・ルイス)なんて完全に道化でしょ。これじゃ、ジョージ(ジュリアン・サンズ)の恋敵になんぞ仕立てられるわけない。そんな話にする気は毛頭無いと見た。付添のシャルロット(マギー・スミス)にしたって、セシルに負けず劣らずの道化でしょ。二人でボケ勝負やってるようなもの。そして、当のジョージと、牧師(サイモン・キャロー)だぞ、神に仕える牧師、それと弟(ルパート・グレーブス)とすっぽんぽんで池で泳ぎ回って、あのシーン、ボカシだらけなんですけどぉ。さすがのボクでもあそこまで振りチンではしゃがんわい。蛇足ですがヘア解禁時代になって、ばっちり棒だけでなく袋までぶらぶら揺れてるのが映ってるそうです。
 どこから感動の巨篇なんて(そんなこと誰も言うてへん?)出てくるんだか。なぁーんの葛藤も問題もないです。観て楽しむだけ。そしてこれを観たものがロケ現場探しで倍楽しい。それだけのコメディ。監督から役者までみんなでよってたかって、いわゆるお堅いイギリスの伝統と格式をよってたかって茶化しまくるコメディ(そのためには荘厳な道具立てが必要だった)。そういうふうに見てみるととてもおもしろい。

A Room with a View
監督 ジェームズ・アイボリー
出演 ヘレナ・ボナム・カーター / マギー・スミス / ジュリアン・サンズ / ダニエル・デイ・ルイス
★★★☆





2002年01月21日(月)
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