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 ▼ ビルジニ・テブネ『エリザとエリック 』 (87 仏)


 何がどうってことない映画だけれど、いかにもいかにもという感じのフランス映画で、ボクはこういう系はけっこう好き。エリザ(ミリアム・ダビッド)のセーターの着こなしがすごくいい。それと彼女のヘアカット。。。じつはほとんどそれに見とれておったのだった。
 コクトーの『恐るべき子どもたち』が下敷きにはなっているけれど...
 何もなくなった部屋で壁にぶちまけたラビオリが妙に印象的。何だかエロっぽくて、その後を予感させるような...予感させるだけですが(笑) 姉と弟の近親相姦、そしてゲイが匂ってはくるのだけれど、これとてさらっと流されてしまって、ここから先は観る側のインスピレーションにおまかせ、というわけでもない。ほんと匂わせるだけ。ヘビの生殺しみたいな。ええい、どっちやねん、はっきりせいと言うてもなぁ。
 というより、視覚的にはこの姉弟はノンセクシャル、あまり男、女をぷんぷん匂わせもしないで、そのくせ情感的に男、女はぷんぷんにおってくるというもの。こういうあたりは、ビルジニ・テブネという女性監督によるからなのか。ねちっとしたいやらしさがないのね。その分、ボクにはちょっと物足りない。
 このビルジニ・テブネは、フランスのポップカルチャーのまっただ中におる人らしく、わかる人が見るとニンマリするあたりがゲストで、かの額縁の中におさまったりしてるらしいんだけれど、そんなもんよっぽどの通でないとわかりません。なにはともあれ、姉弟の創りだす額縁ショー(をいをい)はけっこう楽しめます。欲をいえばできあがりのポートレイトをもう少しきっちり見せて欲しかった。
 もちろん、ビルジニ・テブネがそういう人なので、小道具なんかもおもしろくて、話がどうこうというよりほんとミリアム・ダビッドにみとれて、部屋の小道具やら、色とかにひっぱられてたという、なんかぼよーんとした映画。こういうの疲れなくていいね。

Jeux d'artifices
監督・脚本 ビルジニ・テブネ
撮影 パスカル・マルティ / ダリウス・コンディ
出演 ミリアム・ダビッド / ガエル・スガン / ルドビク・アンリ / エチエンヌ・ダオー / アリエル・ドンバール

★★★☆




2002年01月04日(金)
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