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 ▼ クシシュトフ・キェシロフスキ『ふたりのベロニカ』 (91 仏・ポーランド)


 岩井俊二はこれにインスピレーションを得て『ラブレター』を撮ったという。
監督のキェシロフスキはイレーヌ・ジャコブに惚れてんじゃないと思わせるような描き方。イレーヌの裸シーンが何度か出てくるんだけど、あれ、「どう?ボクの女、いいでしょ」って感じ。はい、いいです。ぞくぞくします。いやぁ、まいった、まいった。夢に出てきそうって、しっかり見ながら寝てしまいました。だって、ほんまに疲れてたんだもん。この映画でなくてもきっと寝てる。が、この映画だから寝てしまったというのもあるんだけど。「静謐」ということばがあまりにぴったりな映画。
 絶対の見どころは、イレーヌの裸!、ぢゃなくて、あ、いや、イレーヌの裸は絶対の見どころだと思うの。これだけ裸が氾濫しているというのに、これくらいきれいに撮られてるのもそうそうないでしょ。それはそれでおいといて、レンズやガラス球、スーパーボール、ステンドグラスを通してわざと屈折させた光。反射させた光。それを執拗に取り込んできてること。それは、「ふたりのベロニカの心を暗示」しているという月並みな解説を待たなくても、やっぱり暗示しているとしか言いようがないのだ。(笑 どういうこっちゃねん(^_^ゞ) 光の使いかた以前に陰影の使いかたがすごいんだね。だからこそ光が生きてくる。
 そのガラス球を通した映像はともかくとして、すごく印象に残ったのは、中盤あたりで、フランスのベロニカが道を歩いていて、空を見上げてふっとため息つくところ。あのシーンでふっと色がとんだような映像になるんだよね。わざとらしく作った映像でなく、ごくごくありふれた映像なので、もし誰かがボクのレビュー読んで見たとしても気がつかないかもしれない。
 それと、いろいろな解釈のしかたが許される映画だなぁ、と思う。これもまたすごくいいシーンだけど、人形劇はね、ポーランドのベロニカ、そのものなのでないかと、これって月並みな解釈なんだけれど、それもまた許されるな、と思う。


2001年11月03日(土)
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