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 ▼ アンドレイ・タルコフスキー『惑星ソラリス』 (72  ロシア)


 三島由紀夫の『豊饒の海』の最後は
「記憶と言うてもな、映る筈もない遠すぎるものを映しもすれば、それを近いもののやうに見せもすれば、幻の眼鏡のやうなものやさかいに」
だった。その一文が惑星ソラリスの海に渦を巻く。

 タルコフスキーがこれで何を言いたいのか、あえてボクが書くことなどないね、いや書けないです。凄すぎ...
 タルコフスキーお得意、というか、タルコフスキーの原初的アイテムである火と水が随所に表れてくる。初めと終わりに流される、流れる水にたゆとう水草の揺らぎはあまりに象徴的。スナウトのソラリス・ステーションの部屋の壁になにげにかけられた蝶の標本。ふっと通り過ぎるだけの馬のシェイプはあまりに美しすぎる(2回あるけど注意してないと見逃すよ)。ハリーが液体酸素から蘇生してくるシーンはセックスそのものだなんてのは考えすぎかな。。。。などなどなどなどなど、一見、無駄に見えるシーンであっても、なんらかに結びついていくようで、それがまた映像として美しすぎる。
 あえて文句つけてみたら、ケルビンとハリーに語らせすぎたかと、でもあれくらい語ってくれないと何がなんだか、ますますもってわからなくなってしまいそう。
 をっと、書き忘れるところだった。中盤に、何故か突然表れる、首都高速(なんでいきなり東京やねん(^_^;A)の長回し、あれもう最高!あのシーンだけでも何度もリピートさせて、石野卓球でも流せば、をっと、そうか、そういうビデオクリップはもうあったか。
 とにかく、まったく相容れないような逆の対比がとにかくすごい。それがアウフヘーベンされてしまうんだから、あぁ、もうすごすぎ。

CinemaScape ★★★★★


2001年10月27日(土)
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