nikki-site 雑文速報
 あいうえお順INDEX 



 ▼ 若松孝二監督『天使の恍惚』 (72 日)


 この時期にやっぱりヤバいかねぇ。でもあえてやっぱり今ぶつけておかないとという気がして。当時の新聞に「無差別テロ映画」などと非難されてたもんねぇ。ロープシンなんてのもかっこいいと夢中になって読みふけってた人間としては、テロの善悪なんていまさらどうこう言う気にはなれないわけで、「報復の戦争」が良くてどうしてテロが非難されねばならないんだってこと。
 この映画が出来た72年というのは、かの浅間山荘で、ひどく閉塞状況がただよってた。その閉塞状況の中で、この『東京爆破宣言』=無差別爆弾テロというのもひとつの選択肢だったわけでしょ。よくこんなものがアンダーグラウンドでなくて公開できたなといまもって思えるよ。どっちのサイドであっても、という意味でね。いま調べてみたら、公開が72/03/11なんだねぇ。浅間山荘は02/28だよ。この同時代性って凄すぎる(-.-;)   とにかくそうでしかなかった時代だった。赤軍であるだけで犯罪(「赤軍罪」などということばまであったくらい)だったというのは、今も歴史の中で繰り返されているだけのこと。
 さてと、いま見ると、どうしてえっちしながら、組織がどうとかこうとか言うかねぇ、なんて思いながら見てた(笑) 個人的には横山リエが好きなんだよ。おもっきり芝居は下手なんだけど、それが逆にリアリティーをもってる。冒頭の横山リエが唄うシーンなんてぞくぞくするし、ラストでなんで東京でなくて富士に向かって自爆テロやってんだって思えど、されどかっこいい。その富士がまたてっぺんが曇ってるなんて、今ならどうしてでもすこーんと晴れ上がるまで待ってでも撮影するんだろうけど。
 それと山下洋輔に煽りまくられるように、ばこーんばこーんとピース缶爆弾が爆裂する。最近見た『白痴』のラストの爆裂シーンと思わず比較してしまってる。『白痴』のほうが圧倒的に壮大なスケールだけれど、かっこよさはやっぱりこっち。そして吉沢健の後ろ姿がたまんない。かっこいいで済ましていいわけじゃないんだが。
CinemaScape ★★★★



2001年10月15日(月)
 ≪   ≫   NEW   INDEX   MAIL   HOME 


My追加